「おはようございまぐぇっ」
目を開けたら目の前にアホ面、そりゃあ殴られたって文句は言えまい。
俺はラビの顔面に拳をめり込ませたまま、それを押し上げるような形で身を起こそうとした。だが、叶わない。
「・・・ひどいさー、ユウ」
「人の寝込み襲って何してやがる」
「襲ってないさ! やましい気持ちはこれっぽっちもないです!」
「じゃあこの手を離せ。 今すぐにだ」
根負けして一瞬力を緩めた隙に、両手とも寝台に縫い止められてしまった。俺の顔の両脇に手をついて俺の手を封じている張本人は、ユーちゃんはすぐ手が出るからダメー、とかふざけたことをほざいていて、それがまた寝起きの神経を逆なでする。第一この男、俺より弱いはずなのに、どうしてこういう時に限ってここまで力を発揮するのか。普段怠けてるんだったら承知しねェ、思ったらまた腹が立ってきた。
「おいラ」
「ユウ、誕生日おめでと!!」
至近距離で満面の笑顔とともに言われ、俺は頭がついていかずに間抜けな声をもらしてしまう。
「・・・・・・あ?」
「だから、誕生日!! 一番最初にお祝い言いたくて早起きしたんさー」
軽く頬にラビの唇が触れた。油断も隙もない。ただ、俺の頭はそんなことより、今日が自分の誕生日だという驚きというか発見というかでいっぱいだった。
「プレゼントは俺! 今日一日は好きに使ってくれていいさ!」
「その言葉忘れんなよ」
「男に二言はないさ! でさ、かわりに・・・なんだけど」
ラビの瞳がじっと俺を見つめる。綺麗な翡翠色。片方だけの碧玉。
「今日は、俺と二人きりで過ごそ?」
「・・・どーいう意味だ」
「この部屋で、俺と二人っきりの誕生日しようさ! ご飯とかは俺が運ぶし。座禅も一緒にやらせて頂きます」
「なんで俺が・・・・」
相変わらずよくわからない発想だ。誕生日に二人きりで、だからどうだというのだろう。
その時、コンコンと遠慮がちなノックの音が聞こえた。
「もしもし神田? 起きてる?」
「・・・リナリーだぞ。どうすんだ」
「う。 部屋まで来るのは予想外さ・・・」
「お前、なんとかしろよ」
「へ?」
「せいぜい頑張って二人きりとやらを死守するんだな」
「うおぁぁぁ!?」
布団ごと上に乗ったラビを蹴り飛ばすと、さっさと身なりを整えて俺は六幻を手に取った。
「おら馬鹿ウサギ。いいのか? 俺は朝の鍛錬に行くぜ」
「ちょ、待っ・・・」
布団に埋もれて情けない声を出すラビに、自然と口元が綻ぶのを感じた。
ユウちゃんおめでとォォォォ間にあった!! 本当は一日分まるまる書こうかと思ったんですがコネタで。 あれですから夜かけないですから私。んー・・・でももし中途半端だなってツッコミ入れて下さる方がいたら・・・善処します(だめそう)
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